1959年 The Diary Of Anne Frank
- アンネの日記 -
★★★★☆
監督:ジョージ スティーヴンス
出演:ミリー パーキンス、ジョセフ シルドクラフト、 シェリー ウィンスター、リチャード ベイマー、グスティ フーバー、ルー ジャコビ、 ダイアン ベイカー、ダグラス スペンサー、ドディ ヒース、エド ウィン
感想:2005年12月15日
180分版ではなく150分版で見ました。 実は手に取った理由はDVD買おうか迷っててとりあえずレンタルしてみようと…。見て もいないのにほしかった理由は「アンネの日記」だからです。本も読んだことないのにな ぜかはわからないけれど、すごく気になっている人物。よし!それなら本より先に好きな 映画で!しかも、この作品はジョージスティーヴンス監督で手堅く濃厚と友達にも聞いて いいましたから。

DVD買って180分版を見よう!と決めました。映画がよかったからなのか、アンネフラン クをもっと知りたい!と思ったからなのか…。多分、8割後者だけれども、本はいつか必 ず読むぞ!!

映画の感想は、とにかく上に上げた主要な出演者はみんな素晴らしくて、小さな屋根裏に閉 じ込められた8人と一匹(猫)が、この狭い空間の中で、様々な人間ドラマが見れて"映画"と して楽しかったのもあるけれども、これが事実であることのほうがやっぱり大きい。一人一 人の人間の欲がどうしても出てしまい、見ていて憎たらしくもなるけど、コレって誰一人の せいでもないんだよなあ。大人が、親が、子供のことも考えず、食べ物を盗み食いするし、 役に立たない高級な毛皮を売りもせず持ち続ける夫人、普段なら心優しい母親だって、他人 の欲にどなりつけ「出て行け!!」とも叫びたくなる。わがまま放題の歯科医に、普段かわ いいはずの猫だって憎たらしくなる。

映画の中にはアンネとその姉、そしてリチャードベイマー演じる青年の淡い三角関係も描か れていて、素直に愛しく感じた。洗濯物の隙間から行ったり来たりするシーンの爽やかさ、 光と影を巧みに使った初めてのキスシーン、ラストの窓の外を眺めるミリーパーキンスとベ イマーの愛らしさと緊張感、それに残酷さを同時に突きつけられた。何とも言えません…。

これ、実話なんだよなと思うほどの、緊迫感の連続。夜寝ているときでさえ、物音に怯え、 サイレンや泥棒にも怯え、いつばれてしまうのだろうか?彼らにとってこの2年はどれくら いの恐怖があったか想像できない。この映画から訴えてくるものはあるけれども…。やっぱ り「アンネの日記」を読んで、この映画と比べてみたいし、何より彼女の日記の全てを読ん でみたい!

演出面、映像も簡単に「効果的!」とか事実を元にしてるし言いにくいけど、とにかく映画 として視覚的にはすごくよく出ていると思います。こんなもんじゃない!のは当然だけれど も、屋根裏の圧迫感、否が応でも心のほうが後退していってしまう雰囲気が恐いくらい出て て、ラストに入っての1時間はずっと胸が締め付けられるかのようでした。

アンネ自身、初めからいい子だったわけではなく、言いたいこと言って人を傷つけたりもす る。難しい年頃に差し掛かって少しずつ成長する姿もこの映画では順追っ手見れてミリーパ ーキンスは素晴らしかったです。有名な話ですけど、オードリーヘプバーンじゃなく彼女で よかったと思います。この後、大成しなかったのも今現在を生きる自分には大きくて、その おかげですんなり映画に入れました。


物語:
ナチの占領下のオランダでユダヤ人が強制収容されてい た。オットーフランク(シルドクラウト)は家族を連れて友人の工場の屋根裏にかくまっても らうこととなったが、一向に終わらない戦争に家族はそこで約2年ものときを過ごすことと なった。世界中でベストセラーとなっていて今なおも注目されている13歳の少女アンネフ ランクの日記の映画化。アンネは語る「私は信じます、人は本来、善良なんだ」と。



感想:2008年6月8日
今回は購入したDVDの180分版を鑑賞しました。

見直した理由は、「アンネの日記(増補新訂版)」を読んだからなんですが、この本を読んで一番興味深かったのが、戦時下でユダヤ人が屋根裏で身を隠すと言った悲劇的な戦争物ではなく、アンネの素直な人間臭い心の動きでした。母親との関係が特に自分は惹かれ、これを読んで変な言い方だけど、自分と母親との関係にも通ずることがあってこの本をきっかけにこれまで以上に気を使わずに家族と付き合っていけそうな気持になれて、これだけでもこの本を読んで良かったなと感じた。あとはやっぱり他人の日記を覗きこむと言った人間の嫌な部分とは思いつつも、やっぱりその点でも楽しかったですね。性的にも多感になるアンネがそのことにも日記で触れていて(結構強烈な表現・笑)、いい年こいた24歳の男が「はあ〜そっか〜」なんて思いながら読んでしまいました。

30分で何が増えたかちょっと思い出せないんですけど(笑、母親との関係もこの映画でははっきり触れてはいますが、やはり興行を考えないといけない部分で恋愛的要素を押し出しているのが残念ではありますね。「アンネの日記(増補新訂版)」を読む限り誇張された部分もあったりします。この180分版ではありますが、まったく長く感じることもなく、これなら連続ドラマにしてもいんじゃないか?くらいに興味深い要素がたくさんありました。

悲劇的事件であることには間違いないが、少女だったアンネはそれでも生きて、自分の人生を恨むこともなく楽しむことを忘れずに過ごしていた。そのときそのときの感情を大切にしているあたり、尊敬するし、自分もそうして生きていきたいな感じました。(それがネガティブであれ、ポジティブであれ)

増補新訂版でもまだまだカットしているらしく、これは全部読んでみたいですね。
    
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